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Lambent インタビュー 井上文華 ②

Lambentインタビュー 井上文華の第2回です。

彼女の漫画家として一面について話を聞きました。

漫画家という選択肢

―文華さんは漫画家さんとしての一面もあって、手塚賞に応募されたり某週刊少年誌で賞を取られたりとそちらの才にも秀でていると思うのですが、漫画家になる気はなかったのですか?

少年誌の(画力を審査する賞の)最終選考に残ったとき、東京に来ませんかという話を頂いて最初はノリ気だったんですけど。賞を取ったのが大学進学を控えてたぐらいで。もっとたくさん経験できることあると思うのに、漫画家になるために東京に行って良いんだろうかってことを思って。自分が何かたくさん経験していると思わなかったし、漫画家になる引き出しがあるとも思わなかったから、じゃあ漫画家だって言うのも躊躇われたっていうか。あと、最終候補に残った賞としてアイポッドナノがもらえるってあったんですよ。それが待てど暮らせど来ないんですよ、今現在も。それで東京来ませんかって言われたけど、あっちもアイポッド送ってこないし、こっちも行かなくていいやって気になっちゃって(笑)

で結局大学進学しちゃって、それから演劇始めちゃって、漫画のこと考える暇があんまりなくなって。アイポッドナノ送ってくれないからおあいこでしょ、みたいな気分になっちゃって(笑)

―漫画は今も書かれているんです?

描きました。

―漫画はもういいかなと思った後に心境の変化があった?

中学校ぐらいから言っているんですけど印税生活したい、まず。あと働き始めて思ったんですけど、やっぱ家で自分の好きな時に仕事したいとか思ってしまってですね(笑)

広島に今在住されている漫画家さんで書き下ろしの漫画描いて、描き下ろしだから自分を厳しくしないと作品生まれないしお金にならないんですけど、それをしながら音楽活動されている漫画家さんがいらっしゃるんですよ。うらやましいなって思って、そういうの。

で、そういう生き方を作るために漫画描いてどっかで拾われないかなって思ってますね。

―漫画に対する情熱は?

好きな漫画はありますね。めちゃくちゃあるんですけど。漫画は私の人生の教科書なんで(笑)だからホントに好きな作品はたぶんどこまでも好きだろうし、そういう作品を描ける作家さんや、作家さんの考えも好きだし。漫画家という職業も憧れであるし、漫画も離せない分野なんですけど、自分がそういう作品を描いて読んだ人にそう思ってもらえるようになるにはえらい研鑚が必要だなと。今朝仕事に行きながら思いましたね(笑)

不真面目な漫画家という理想

―描くことの熱と芝居に対する熱ってどっちが強いんです?

芝居を始めてたくさんの人に出会える。でたくさんの人に出会ってすごい面白い人や尊敬する人がいて、そういう人と同じ作品を作れる時間は、漫画は一人の作業なので勝らないんですけど、全然。作家さんって賢くないとなれないと思うし、自分の頭の中にしかなかったものを誰の目にも留まる形にする力ってのはすごいと思うんで。思うんですけど自分が描くってなるとスローですね。この話はちゃんと書きたいって思うものが出てこないと描けない。

今書きたいものはあるんですけど。暇になったらこれちゃんとやろうと思っているのが何個かあるだけで。夢中になってやるものがあるわけじゃないので。そういうやつなんだな自分って、て思います。

漫画描きながら、芝居ができるハッピーってことができるのってそれまでに死ぬほどどっちか頑張って認められたときじゃないですか、それぐらいの融通がもしかしたらきくのって。それを考えると、やっぱどっかでどっちか離れるんなら芝居離れるんだろうなって思ったりもし。

―漫画ではなくて芝居を離れる?

漫画でやるとしたら。芝居を離れる時期くるしなぁっていう。

―これから文華さんはどういう方向に向かって進んでいきたいですか

最終的には不真面目な漫画家しながら、芝居に何らかの形で関わる。

―不真面目だな(笑)

そうですね(笑)だからまじめに生業としてそれぞれ立てている人からしたら、それは腹が立つだろうと。でも今現在それができてもないし。ただの夢ならタダだと。言う分には(笑)理想はこれなんだ。それまでにどれくらしんどい思いをするかわからないけど理想はそこ。

真剣に嘘を作りたい

―漫画を書くことと役者として舞台に立つことでは「表現する」という点では同じ部分もあると思いますが、文華さんの考えを聞かせてください。

たぶん共通して言えるのは漫画に描いてある人でも芝居、舞台でも自分がお客さんだったらすごい人間臭い人が好きで、漫画でも芝居でもフィクションだからって小奇麗すぎる人はやっぱりあんまり面白くない。多少どっかで自分が傷つくことがあっても人間臭さがあってその人に共感しちゃうようなのが良いんですよね。自分がそれを書く側になった時ややる側になった時できてるかっていったら別の話ですけど。真剣に嘘は作りたいなっていう、漫画も芝居も。だからどっちもやる上ではそういうことは忘れたくないですね。

―お芝居と漫画はどういった点が一番異なっていると思いますか?

漫画は例えばキャラクターの表情を描いたりするにも、紙面の上で自分が描くことになるんですけど、自分の描きたい絵と自分の描ける絵にすごい差があって。自分がそれを見て確かめてるわけだから、すごいままならなさを感じるんですよ。で、芝居のほうは自分が出ていると自分がどういう表現の仕方をしているかっていうのは全くわからないんですけど、でもそこは演出さんと共演している方、見てくださっている人を信用して最終的には本番で作品の一部になろうとする。芝居は漫画ほど作っている最中の自分を見なくてすむ。だから迷う暇がない。どうやったらその役になれるかなっていうのは考えるけど、いちいち全体像を確認しているわけじゃないから変に立ち止まらなくて済むみたいな。

―自分でジャッジしなくてもいい?

ジャッジしなくていいと思っている部分が多分にありますね。自分で考えすぎちゃダメって思っている部分が。自分の中で確かなものとして残っている部分をちゃんと残していけばいい。

―漫画とお芝居似ている点はありますか?

全然違うものとは思うんですけど。手塚治虫さんも演劇好きだったし、萩尾望都さんの作品はたくさん舞台化してたりするんですよ。表し方は違うんですけど根っこの部分では一緒のものを目指そうとできるかも、というのはあります。

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