Lambent インタビュー 深海哲哉①
インタビュー形式でメンバーの素顔を探るラムベントインタビュー。
第6回はラムベントが誇るマルチタレント、深海哲哉です。
本番というかけがえのない時間
―芝居をやり始めたきっかけを教えてください―
役者をやり始めたきっかけというのが二段階あって。演劇を始めたのは30歳ぐらいから。そのさらに前、24歳ぐらいのときに映像から入りました。入ったきっかけが、佐川急便で働いていて腰を悪くして佐川急便をやめたんですね。じゃあ何をしようかとテレビを見ていたら映画の出演者募集というコマーシャルが流れていて。広島に新しくできる芸能事務所の募集だったんですけれども、それに応募したんです。その事務所に入るという感じで。ちょっと高額な入所費用とレッスン費用を支払って。そこでスタートしたわけなんですけれども、その事務所がフェードアウトしてしまって(苦笑)そこで講師をされていた大蔵笑の中本さんという方に、面倒見てもらって教えてもらうという形になりました。
―事務所というか養成所みたいなところだったんですか?
名目上は(苦笑)期間としてはホント短かったですね。でもそこで中本さんと知り合うきっかけになった。そこからテレビやCM、映画に出るようになったんです。
演劇を始めるきっかけとなったのが、サントリーのCMでした。そのCMで天辺塔の恋塚さんと共演して、その際に恋塚さんから今度舞台をやるんだけど、良かったら出てみないかと誘って頂いたんです。それが『びいどろ屋3』でした。今でもはっきり覚えているんですが、初舞台にしてはとても大変な舞台だったっていう。
―何が大変だったのですか?
時代劇だったんですよ、劇団新感線みたいな感じの。ロックがかかってて時代劇が繰り広げられるっていう。それがかなり濃密な稽古で。今でもあそこまではやったことないっていうくらい濃密な稽古でした。というのが、その物語の全ての役のバックボーンをエチュードで作っていくということを、一人一人やっていったんですよ。すごい時間かけて丁寧に作って。それが大変でした。
―その初舞台で一番印象に残っていることはなんですか?
本番まで稽古をやり続けるじゃないですか、何回も何回も。でも本番になった時に稽古では見えなかった風景が見えるんですよ。
稽古で何ヶ月もやってきたことは、この本番のためにあったんだなって感じました。稽古ではぼんやりとしていたものが、本番の舞台に立った時に照明や舞台装置や音響、そしてお客さんのエネルギーによってはっきり見えてくる。これってすごくかけがえのない時間なんだと最初の舞台で感じました。
演劇の「空気感」と「緊張感」
―最初の入口となったのは映像だったわけですが、その後舞台を経験されて映像と舞台の違いをどういうところに感じましたか?
舞台に関して言うと、そのときその場所でしか体験できない。
映像というのは持ち出せる。いつでもどこでも見られるんですけれども、演劇はそこの場にいる人だけしか共有できない空気感というか。そういったものはあるんじゃないかと思いますね。
―映像と舞台のやり方演じ方で違いはありますか?
映像に関して言うと撮り直しがきくじゃないですか、本当はいけないんですけれども。でも演劇の本番って失敗が許されない。失敗してもその場でカバーしないといけない。なんとかしなければならない緊張感というか。
そういったところは映像よりあるんじゃないかなと。長所でも短所でもありますけど。
―どちらの方が得意、向いているというのはご自身で感じられますか?
どちらかというと映像の方が自信はあります。映像ってなれない人だと緊張が伝わってくるんですね。思いっきりカメラを意識しているなとか作った演技だなっていうのがわかるんです。演劇よりになってくると芝居が大きくなるというのがあって。
その中間というか、できるだけ自然なものは出せるようになってきたんじゃないかなあとは最近思います。まだまだですけど(苦笑)
『びいどろ屋3』で変わった映像での演技
―一番思い出に残っている映画・CMは何ですか?エピソードをお聞かせください。
『びいどろ屋3』を境に変わったんですよ、自分の演技が。それまでもCMに出ていたんですけど、今自分の以前のCMを見たらとても恥ずかしくて見られないと思います。
JRのCMがあったんですね、新幹線の。そのときはこれまでの映像の演技とガラリと変わった感じの演技ができたんです。だからJRのCMはすごく自分の中で思い入れがあるというか、良かったなと思いますね。
―どういうふうに変わったと思いますか?
見せ方が中途半端でなくなった。演劇をするようになって、そのCMの中での役を考えるようになったんじゃないかと思います。JRのCMは三枚目な役どころだったんですけど、思いきった演技ができるようになりました。