Lambent インタビュー 深海哲哉②
ラムベントインタビュー、深海哲哉の第2回です。
撮影現場で感じたことやヒューマンアカデミーの講師としての話などについて話を聞きました。
印象深かった秋元才加さんと小栗旬さん
―深海さんは今までいろんな方と共演されてきたと思うんですが、その中で特に印象深かった人のエピソードを教えて頂けますでしょうか?
二人いて、一人はつい最近共演させていただいた秋元才加さん。元国民的アイドルという肩書きが邪魔になるぐらい本当に女優として立派な方でした。何がすごいって、主役なんですけれども自分の出番じゃないときや休憩時間に、スタッフも含めて周りの人達を巻き込んで撮影の現場を明るくしようということをごくごく自然にされていたんですね。一番疲れているはずなのに一切それを見せずに、現場の華でした。
演技に関してもいろんな提案を出したり。引き出しの多い方で。すごい方だなと思いましたね。本当に現場を楽しんでいる、そういったことを感じました。
もう一人がかなり前なんですけど小栗旬さん。役者を始めたばっかりの頃に『ロボコン』という長澤まさみさんが主演の映画がありまして。一週間ぐらいロケをやったんですね。
それでいろんな人が一斉にホテルで朝食を取るんですけれども、小栗さんはスタッフさん全てに、自分からおはようございますと頭を下げていました。こんな端役の自分にも頭を下げて。それまで持っていた映画の主役のイメージと全然違いました。こんなに丁寧に挨拶するんだと思って。誰にでも分け隔てなく接して礼儀正しい人なんだと。衝撃でしたね。
嘘を本当に見せる「覚悟」
―ヒューマンアカデミーで講師もされている深海さんですが、これから映像の現場を目指している人に一番勉強してもらいたいこと、また知っておいてほしいこと教えてください。
演技するうえで絶対に覚悟しておかなくちゃならないことってあるんですよ。例えば観客は、映画にしろ、ドラマにしろ、舞台にしろ、その場で行われていることが嘘だとわかっている。嘘だとわかったうえでそれを本当に見せる。その覚悟を持っておいて欲しいと思いますね。
それっぽく言えばいいとか、泣いたらこんな感じとか怒ったらこんな感じとか笑ったらこんな感じとか。でもそれはそれっぽくしているだけで演技ではないし、嘘の世界を楽しもうと思って見ている人たちに伝わるものでもない。だから演じるっていうのはそれっぽくするっていうことじゃなくて、役についてどういう考えで喋っているか深く考えないととても伝わらないと思いますね。
演劇は演技の根本
―映像の現場で舞台とは違う身につけておかなければならない技術はありますか?
演劇は積み重ね積み重ねで、トライアンドエラーというか、試して修正しての繰り返しでその集大成が本番。映像に関して言うとラストシーンから撮ることもあって、バラバラではじまったりする。だから用意スタートの瞬間にいきなりその気持ちに持っていかなければならないんです。そこからまた気持ちが変わって違うシーンとか。気持ちのつながりをずっと持つというよりも、どう気持ちを切り替えるかが映像に関しては大事なのかなと思います。
映像って役者の演技だけでなくてカメラワークだったりとか編集とか役者の演技以外での要素で見せ方が大きく変わったりするんです。
でも演劇に関して言うと、その場で生で見て聞いてということなんで、誤魔化しがきかないんですよ。演劇の演技はすべての根本なんじゃないかなと。それがあっての映像。演劇が中心になっている気がします。
―ヒューマンアカデミーで学ばれている生徒さんも実際に現場に出ていくにあたって舞台の経験を積んだほうがいいんじゃないかと?
絶対いいと思います。そうすべきだと思います。じゃないと本当にモノマネ的な声の出し方だけで終わっていくんじゃないかと思いますね。