肝付さんから教わったこと
10月20日、井上が師事した肝付兼太さんが逝去されました。
劇団21世紀FOXで5年という短い期間ではありましたが、たくさんのことを教えていただきました。
特に印象的だったのが、研修生公演「螺子と振り子」での稽古でのこと。
クレオという少年役の井上と客演の山川亜弥さん二人だけのシーンだったのですが、井上が小道具を取り落としてしまいました。
その時自分は、クレオ少年でその場でどう対処すればいいかわかりませんでした。
山川さんに助けていただいてなんとなくそのシーンは流れたのですが、肝付さんにダメ出しで言われた言葉。
「あれを対処できて一人前。頼れる役者だよ」
それから8年が経ちますが、ずっと心に残っている言葉でした。
そして、今公演「アプローチ アプローチ コンフリクト」で同じような瞬間が本番で訪れました!
それは29日土曜日の夜公演でのこと。
伊藤が塚本に金を投げつけ拾わせるシーン。
深海さん演じる塚本が全て拾い終わり立ち去ろうとした瞬間、お札が一枚ふわりと床に落ちてしまったのです。
もちろんそんな筋書きはなく、そのまま放置して舞台にお札が残っても困るところ。
そのとき、フッと伊藤の気持ちでお札を拾いあげ自然とセリフが出てきたのです。
自分でも驚くぐらい違和感がなくつなぐことが出来て、びっくりしたぐらい。
そこで8年前の肝付さんの言葉を思い出しました。
「一人前」とか「頼れる役者」になれているかはわかりませんが、自分の成長と「螺子と振り子」での稽古が「アプローチ アプローチ コンフリクト」に生きたことは素直に嬉しかったです。
もしかしたら肝付さんが力を貸してくれたのかな?
・・・なんてね。