Lambent インタビュー 松井大樹 ③
ラムベントインタビュー、松井大樹の最終回です。「市ヶ尾の坂」についてや自分の恋愛観などについて語ってもらいました。
人間臭いキャラクターに共感する
―今回の「市ヶ尾の坂」について聞かせてください。「市ヶ尾の坂」の登場人物はみんな個性的なキャラクターばかりですが、一番好きな登場人物は誰ですか?
自分の役かなぁって思ってたんですけど、見ててこいつ好きだなって思ったのは司ですね。うまくいくかどうかわからないけど、好きな人のそばに居たいっていう不器用さが出てるのが。好きな人にはよく見せたいなっていうところがなんか好きだなって、個人的に(笑)
―自分と共感するところがある?
多少ありますね。自分自身がやっぱり恋愛に対しても器用なタイプではないので。好きな人に少しでも良く見せようとか、ちょっと背伸びしちゃうところがあるんで。それがうまくいってるかどうかはわからないですけど。
―松井さん自身、今好きな人はいますか?
います(笑)
―その人と接するときはやっぱり不器用な感じで接してしまう?
それは・・・オフレコで(笑)
―(笑)では、そういうところも含めて司に共感するので司のことが好き?
そうですね。一番共感しやすかった。こういう人間臭さが好きだなって。うまくいかないけど、うまくいかせようとして。気持ちはすごいわかるんで。それは好きですね。
―司の恋を応援したいなと?
個人的には応援したいですね(笑)司は結構好きです。
不器用なりの素直さを表現したい
―では自分の役で、末っ子の学に共感するところはありますか?
共感する部分って言うと、ホントに不器用なところですかね。司とそういった面では同じなんですけど。自分自身がやっぱり不器用なので。うまく表に出すのが昔の自分は苦手だったんです。そういうところが共感できるかなと。相手に伝わっている感情と自分が伝えたいことが違うってのが学の中でかなりあると思うんですよ。人からどう見えてるといるのがわかんないから、こんな風になってるんだろうなって。その点は自分も昔は特に言われて、こういう風に見られてたんだっていうのがあったので。
―昔の松井さんと今回の学という役は似ている部分もある?
部分的にはあります。あそこまで極端ではないですけど。
―今回松井さんが演じられる三兄弟の末っ子の学は、初演では温水洋一さんが演じられていますが意識されますか?
昔の温水洋一さんがどういう芝居をしてたんだろうなっていうのは興味がありますね。温水さんは決して器用なタイプの役者さんじゃないんじゃないかなって思うんです。ただすごくキャラが立っているなと。どういうふうにやったのかイメージが湧きづらいんですね。だから見てみたいなって、どんな学を演じたのか。
―では自分自身はどういうふうに学を演じていこうと思っていますか?
不器用ですけどすごく素直だから、不器用なりの素直さをしっかり出していきたいなと思っています。その上で純粋さを出していけば学の魅力が伝わるんじゃないかなと。
―自分の演技についてどう思いますか?
不器用ですね。もっと引き出し増えないかなーと思うことはありますね。自分自身が思っていたのと映像で見るのとでは違うから、それをどうやったら埋められるかなって四苦八苦しているので。改めて映像で見て、うわ下手くそって思うことは多々あります。
―苦労していること、課題などありますか?
役のバックグラウンドが自分の中で薄いなって思うところがあるので。バックグラウンドをしっかり構築した上で不器用なりの、不器用さを武器にうまくできないかなぁと。綺麗にまとめようって思っていないんですけど、やってみると無意識で綺麗にまとめようとしているんだと思うんですね。自分の思ったイメージでやろうとすると変に綺麗にまとめようとしてしまう。それは僕が演劇やる上での変な癖だと思うんですよ。その癖を無くすことから入らないといけないんじゃないかなと。
―これからの活動内容や目標があれば教えてください―
5年ぐらい前に書いた脚本があるんですけど、それを自分自身の演出で舞台にしてやってみたいなって思ってます。
―最後にお客様に一言お願いします―
とても面白い芝居にしてみせますので、是非楽しみに見に来てください。
何度も自分のこと、そして自分が演じる学という役を不器用だと言った松井。しかし、不器用なことは決して短所ではなく魅力だと私自身は思います。彼の言った「不器用なりの素直さ」というのが松井大樹の最大の武器であり、彼の演じる学と強くシンクロするところだと感じました。
「市ヶ尾の坂」を通して新たな一面を見せようとしている松井大樹にご期待ください。