凄いの造りました
皆さんこんにちは。ラムベントお手伝いのワタベです。
昨日言った通り、今日はお待ちかねの小屋入り。私は小屋入りというのは初めての事なのでイマイチ実感が持てていなかったのですが、事前に寺田や丸橋から「雑巾やその他工具を持ってきて、小屋が掃除出来るような身軽な格好で来てね」と言われていたので、気分はなんだか「お引越し」という感じでした。わくわくしていたのです。そう、相変わらず呑気に構えていた訳ですね…。
しかし行ってみたらどうでしょう。初っ端から超ウルトラ肉体労働でした。大きくて重たい平台をえっちらおっちら運ぶ訳ですが、ペットボトルの蓋も開けられないような非力な私はあっと言う間に疲れ果ててしまい、全く使いものになりませんでした。皆凄いんですよ。以前のタタキ作業の時に男性陣が凄いって事にはもう驚き切っていたので、そこは「相変わらず凄いな」程度だったのですが、女性陣が、もう。梅田と井上文華が顔色一つ変えずひょいひょい重たい荷物を運びまくる姿には、ちょっと私のこれまでの常識を疑いたくなりました。特に梅田なんかは、あの細い体で重たい荷物を運ぶどころか持ち上げたりする訳ですから、本当に驚きです。どうなっているのでしょう…。
という訳で、お待ちかねの小屋入り。先ずは「小屋に事前にあった大きな道具達を舞台づくりの出来るよう屋上へどかせる」という、小屋のお掃除から始まりました。(思い返せば多分ここが一番肉体的に辛かったです。)
さて、一通り物をかわし切ったら、いよいよ舞台を組んで行きます。先ずは…って、あ、駄目ですね。これはちょっとネタバレです。
今回の装置、かなり大掛かりな物で、上も下も真ん中も、何かしら物があるのです。先ずは下から組んで行ったのですが、いやはや、パーツとしてバラバラしたものが、組み終えてみると全く以て“それ”になる様には、もう「感動」の一言です。“それ”というのが何なのかを言えない事が本当に悔しいですが、もう本当に“そのもの”という感じのものが出来ているのです。凄いですね…。しかも設計図通りに間違いなく組めたようで、「丸橋さん凄い!」と、皆もちょっと感動しておりました。
そう、ラムベントの装置担当は丸橋です。役者としても役割がある中、こんな大掛かりな装置をつくってしまうとは何事なんでしょうか。“設計図”って、確か数学的知識が要るやつですよね。丸橋は文学部出身とか言っていたような…?相変わらず、演劇業界に関わる人達の謎の技術力に驚きが隠せません。
と、感動している最中、「うーん、ここじゃ“中”が組めないわ。ちょっと4センチぐらい全体をそっちに動かして」と、なんともアバウトな注文をして来る丸橋。“4センチ“って、なんでまたそんな微妙な長さを、しかも目算で動かせだなんて!(笑)きっちり設計図通りに事が進んでいた最中、ここで突然の“現場合わせ”が入ってきました。「細かいと見せかけてアバウトで、アバウトと見せかけて細かいのよ」と、自分の装置づくりを評する丸橋。うん、確かに、ちょっとアバウトでした(笑)…が、なにもテキトーにアバウトな事をやっていた訳ではなく、ちゃんと考えて“適当”な場所を探していたのです。4センチ云々をああだこうだとやって完成してみると、これまた完璧に“それ”が出来ている訳です。凄いですね。
細かな作業は私もちょっとお手伝い。カッターとテープを持って、切ったり貼ったりをしました。しかし、ペットボトルの蓋が開けられないどころか、折り鶴も折れない不器用な私では、相変わらず使いものにならず、ガタガタととても汚い仕上がり。「まぁ装置なんて大きなもの、細かい所は多少アバウトでも…」などと考えていた私ですが、いやまさか、そんな筈ありませんでした。皆もう、真剣そのもの。「そんな細かい所私なら目が届かない」と思う所まで、完璧に細かく仕上げて来るのです。“演劇”に対する皆の情熱を感じました。
それが一番顕著に表れたのは“上”の作業をする時でしょうか。“上”なので、皆脚立に上がって作業するのですが、“下”の作業ほど易々とは行ってくれなくて、かなり苦戦してしまいました。何が大変って、“下”の作業ほどしっかり物が留ってくれないのに、ミリ単位の拘りを、皆そこで見せて来るのです。「ここがちょっと高い」「駄目これじゃあ歪んでる」などなど。やー、恐ろしい!皆の拘り、演劇にかける情熱、本当に凄まじいです。
さて、その甲斐あって、夜の9時、やっと舞台完成です!
…いや、なんか、もうホント、写真をお見せしたいぐらい、凄いのが出来ました。なんなんでしょうこれは!私と同じくラムベントのお手伝いをしている隼田氏も「2000円払ってこの舞台って、とってもお得!嬉しくなっちゃいます」と大絶賛。「何とか寺田さんの頭の中にあるものを再現出来たかな」と丸橋もほっと一息。いやホントに、大袈裟な宣伝とかではなく、ちょっと凄いんです、この舞台。
という訳で、12時間を超える装置作業、大きな事故も無く、無事終える事が出来ました!最後に丸橋から「予定より6時間オーバーでしたけど、皆様お疲れ様です」と一言があって、皆どっと笑って、解散。
6時間オーバーって、本当なら笑い事ではないし、こんなに和やかに事が進むはず無い。しかしそれがこんなに楽しく終えられたのは、早くから場所を貸して下さる山小屋シアターさんのお陰!こんなに大掛かりな装置が組めるのも、余裕を持って細部に拘れるのも、全てはその為なのです。もう感謝してもし尽くせません。ありがとうございます!!
早くから小屋を借りられて、とんでもないクオリティの舞台まで組めて、明日からはここで稽古。頑張ります…っていうか、わくわくが止まりません!舞台で練習するなら、これまでとは絶対違う見え方をするでしょうし、役者の演技も変わってくるかもしれません。本当に楽しみですね…!
「演劇って、5割は舞台が持ってると思う」と寺田。なるほど…。でもホント、とんでもないクオリティの5割が出来ました。これは宣伝とか関係無く、とっても個人的に、本当に、多くの方に見てほしいです。皆様是非、お時間がありましたら本当に是非、『市ヶ尾の坂』見に来て下さいませ。舞台装置だけでもこのクオリティ、絶対損はさせません。是非是非皆様、お待ちしております!