『市ヶ尾の坂』ちょこっと裏話その②【山下君の手紙】
皆さんこんにちは。ラムベントお手伝いのワタベです。
『市ヶ尾の坂』ちょこっと裏話第2弾はこちら!
【山下君の手紙】!
『市ヶ尾の坂』は、市ヶ尾に住む3兄弟と、その家に度々訪れる美人人妻・旦那・家政婦との物語でしたが、山下君の事も忘れてはいけません。山下君とは、少し前まで市ヶ尾に住んでいた、3兄弟のご近所さんです。どういう訳か一人でドイツに渡って、以来こうして時々手紙をよこして来る、そんな人でした。第一幕で長男司が鞄から手紙を取り出し、その後カウンターに座って読むシーン、皆様覚えておいででしょうか?
という訳で、そんな山下君のお手紙の全文を、ここを見ている皆様にだけ、ひっそりこっそり大公開です!ジャジャン!
「望郷の念にかられます」!これは司が読み上げ、3兄弟で笑い飛ばした一文ではないですか!本当に書いてあったのですね…!こうして実物を見てみると、「本物の山下君の手紙だ!」と、少し感動してしまいます。山下君の人物像もなんだかちょっぴり読み取れそうな、そんなお手紙ですね。
…が。
ここからは裏話の更に裏話。“制作の舞台裏”をお見せする、本当の裏話で御座います。
なんとこのお手紙の文章、“ラムベント完全オリジナル”で御座います。もっと言ってしまえば、“小道具担当隼田氏の完全オリジナル”なのです。
山下君の手紙内容、司が「望郷の念にかられます」と読み上げる以外は、細かい事は劇中では語られません。故に手紙の全文が台本にも記されていないのです。
それをなんと!我等が小道具担当の隼田氏が“つくった”のです!凄いですね…!ちゃんと「望郷の念にかられます」という文章を入れながら、山下君が良く書いて来ると司が言っていた「遊びにこい」という内容の文章まで入っています。これは本物の“山下君の手紙”です…!
この手紙、お客さんの位置からは内容を読む事が出来ませんでした。それなのにこんなにしっかりと…。
こういった“お客さんに見えない部分までしっかり演技をする”という事。前回お話しした梁の件もそうですが、こういう“細かな拘り”が、良い芝居をつくるという事なのでしょうか。一見意味の無い事のように思われますが、こういう細かな事が、実は一番大切なのかもしれません。
さて、そんな感じでお送りしました、裏話【山下君の手紙】。演劇に於ける細かな拘りの大切さをほんのり感じながら、“3兄弟と山下君との手紙をちょっと盗み見た”お得感を感じてもらえれば幸いです。
それではまた次回、「『市ヶ尾の坂』ちょこっと裏話その③」でお会いしましょう!